GHSとは?JIS規格やSDSとの関連

GHSとは?JIS規格やSDSとの関連を徹底解説

GHS

化学物質管理に携わっている方は、GHSという言葉を聞いたことがあると思います。
しかし、GHSの位置づけやその内容、化学物質管理との関連性については詳しく分からないという場合も多いのではないでしょうか。

この記事では、GHSの基本的な意味から、JIS規格やSDS (安全データシート)との関連性を初心者の方にもわかりやすく解説します。


1. GHSとは?結論:化学品の危険有害性を調和するための国連勧告

GHS (Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)は、日本語で「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」と呼ばれます。

かつて、化学物質の危険有害性の基準は国や地域ごとに大きく異なりました。この状態では、化学物質の国際取引に大きな支障や混乱が生じてしまうため、国連が勧告として公表している文書がGHSです。

GHSが定めていること

情報の伝達: SDS(安全データシート)の記載内容

分類基準: 爆発性、引火性、急性毒性などの分類基準

ラベル表示: 化学安全ラベルの表示事項

英語の名称を「Safety Data Sheet(セーフティ・データ・シート)」といい、頭文字をとってSDSと呼ばれます。
対象となる化学物質を他の事業者に譲渡・提供する際に提供され、化学品によってはその情報の提供が法律(労働安全衛生法、化管法など)で義務付けられています。

化学品の危険有害性や取り扱いの注意事項が記載されており、「正しく安全に使うためのガイドブック」の役割を担っています。

2. 日本におけるGHS

GHSは国連勧告ですので、それ自体には強制力はありません。そのため、各国それぞれが法令や規格にGHSを参照することで、国際的な標準化が図られています。
ここでは、日本におけるGHSの状況を解説します。

GHSと日本の法令との関連

日本では、やや複雑な形でGHSが採用されています。複数の法律がGHSの分類基準を取り入れる形で運用されています。

主な関連法令は以下の通りです。

  • 労働安全衛生法(安衛法) 職場での労働者の安全を守るため、ラベル表示やSDS(安全データシート)の交付を義務付けています。対象物質は段階的に拡大されており、GHSに基づいた情報伝達の中核を担っています。
  • 毒物及び劇物取締法(毒劇法) 保健衛生上の観点から、毒物・劇物に該当する化学物質のラベル表示等を義務付けています。
  • 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法/化管法) 環境保全の観点から、対象となる化学物質のSDS提供を義務付けています。

このように、各省庁が管轄する法律がGHSに基づくラベル表示やSDS提供の法整備によって、事業者間のスムーズな情報伝達を実現しています。

GHSとJIS規格の関連

JIS規格(日本産業規格)では、具体的な分類方法やラベル表示、SDSの項目を定義しています。日本におけるGHSの実装は、以下の2つの主要なJIS規格に準拠することが基本となります。

  • JIS Z 7252 「GHSに基づく化学物質の分類方法」を定めた規格です。化学物質の危険性や有害性を、どの基準でどのクラスに分類するかという具体的な分類基準が示されています。
  • JIS Z 7253 「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法ーラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」を定めた規格です。ラベルに記載する絵表示、注意書きの文言、SDSの記載項目などのデザインや構成を規定しています。

ポイント: 日本の法令(安衛法・化管法)では、ラベルやSDSの作成にあたって「JIS Z 7252及びJIS Z 7253に準拠すること」が推奨、あるいは一部義務化されています。つまり、JISは日本におけるGHS運用の「実務マニュアル」としての役割を果たしているのです。

3. GHSにおける「危険有害性の分類」

GHSでは、化学物質が持つ危険有害性を大きく3つのグループに分けています。それぞれのグループ内にはさらに細かな有害性が定義されています。

物理化学的危険性(爆発や火災のリスク)

物質そのものが持つ物理化学的な特性による危険性です。

  • 爆発物: 衝撃や熱で爆発するもの。
  • 引火性液体: ガソリンのように火がつきやすいもの。
  • 金属腐食性物質: 金属を溶かしてしまうもの。

健康に対する有害性(人体への影響)

吸い込んだり触れたりした際に、人間の体に与える有害性の程度を示します。

  • 急性毒性: 飲み込んだり触れたりして、短時間で中毒症状が出るもの。
  • 皮膚腐食性・刺激性: 皮膚がただれたり、赤くなったりするもの。
  • 発がん性: 長期的な暴露によりがんを引き起こす恐れがあるもの。
  • 生殖細胞変異原性: 遺伝子に影響を与える恐れがあるもの。

環境に対する有害性(生態系への影響)

海や川などの水生環境や、オゾン層に与える有害性の程度を示します。

  • 水生環境有害性: 魚や水生植物などに毒性があるもの。
  • オゾン層への有害性: オゾン層を破壊する性質を持つもの。

「区分」の考え方

GHSの分類結果には必ず「区分」という数値がつきます。

区分1が最も危険有害性が高く、数字が大きくなるにつれて、危険有害性の程度は高くなります。

危険有害性の種類によって、区分の数は異なります。

例えば、「引火性液体 区分1」と書かれていれば、それは極めて引火しやすい危険な物質であることを意味します。SDSを読む際は、この「区分」の数字を確認することも重要です。

4. SDS(安全データシート)との関わり

GHSの情報を現場に伝えるための「通知表」が**SDS(Safety Data Sheet)**です。

SDSとは?

化学物質の性質、危険性、応急処置、保管方法などを詳細に記した書面です。GHSの基準で分類された結果は、すべてこのSDSに反映されます。

SDSに記載される主要な16項目

GHS/JISのルールにより、SDSは以下の16項目で構成することが決まっています。

1. 化学品及び会社情報製品名、供給者名、緊急連絡先
2. 危険有害性の要約GHS分類、ラベル要素、絵表示
3. 組成及び成分情報化学名、含有量、CAS番号
4. 応急措置目に入った、吸い込んだ、飲み込んだ際の処置
5. 火災時の措置消火剤、特有の危険有害性など
6. 漏出時の措置人体への注意事項、回収方法
7. 取扱い及び保管上の注意安全な取り扱い、保管条件
8. ばく露防止及び保護措置許容濃度、設備対策、保護具
9. 物理的及び化学的性質外観、pH、融点、沸点、引火点
10. 安定性及び反応性反応性、避けるべき条件、危険な分解生成物
11. 有害性情報急性毒性、刺激性などのデータ
12. 環境影響情報水生毒性などのデータ
13. 廃棄上の注意廃棄方法
14. 輸送上の注意国連番号、国連分類
15. 適用法令安衛法、化管法、毒劇法などの該当状況
16. その他の情報参考文献、作成日、免責事項

各項目は、GHS(Global Harmonized Standards)、法規制(労働安全衛生法など)、JIS規格などを反映して記載がされています。それぞれの内容とSDSとの関連性について、次項から詳しく解説します。

5. GHSに基づくラベル表示

SDSは電子媒体や紙資料で情報を伝達するのに対し、ラベルは実際の化学品の容器に貼られる表示です。

JIS Z 7253に基づき、ラベルには以下の要素を表示する義務があります。

絵表示(ピクトグラム): 炎やドクロのマーク

注意喚起語: 「危険」または「警告」

危険有害性情報: 「強い眼刺激」など

注意書き: 「保護手袋を着用すること」など

化学品の危険有害性分類に従って、これらの項目を適切にラベルに反映する必要があります。

6. SDSやラベルを作成する必要が生じたら?

これまで説明したように、SDSやラベルの作成には専門的な知識と膨大な作業時間が必要です。

ここでは、SDS・ラベル作成が必要になった際の主な対応方法を3つご紹介します。

① 自社で作成する

最もコストを抑えられる方法に見えますが、実はハードルが非常に高いのが実情です。

  • 最新の法令やJIS規格(JIS Z 7253など)の熟知が必要。
  • 成分ごとの有害性情報を公的データベースから収集し、GHS分類を行う専門知識が必要。
  • 法改正のたびに内容をアップデートし続ける管理体制が必要。

② 専用ソフトを導入する

作成頻度が高い企業では、SDS作成支援ソフトを導入するケースもあります。ただしランニングコストが高くなる場合があります。

  • 定型的な入力で作成を効率化できる。
  • ただし、初期費用や年間保守料が高額になる傾向がある。
  • 法規制や規格は年々変化しているため、その都度、ソフトの更新を行う必要がある。

③ 専門家へ作成代行を依頼する

「複雑な法令や規格をチェックして作成する自信がない」「なるべくコストを抑えて法令に準拠したSDSを入手したい」という場合に最も選ばれているのが外部委託(アウトソーシング)です。


SDS作成をプロに任せる3つのメリット

自社で無理をして作成するよりも、専門の代行サービスを活用することで、以下のようなリスク回避と効率化が可能になります。

  • 法規制への完全準拠 安衛法、化管法など、複雑に絡み合う日本の法規制を漏れなくカバー。
  • 最新情報の反映 JIS規格の改訂や、対象物質の追加など、目まぐるしく変わる最新動向に基づいた正確なSDSを作成します。
  • コストと時間の削減 慣れない作業に何十時間も費やす必要はありません。必要なデータを提供いただくだけで、短期間で高品質なSDSが完成します。

当社では、化学物質管理の専門家が、貴社に代わって正確かつ迅速にSDSを作成いたします。 「混合物のGHS分類が難しい」「海外から輸入したSDSを日本国内法に適合させたい」といったご相談も承っております。まずはお見積り・ご相談から、お気軽にお問い合わせください。