労働安全衛生法における化学物質管理
労働安全衛生法の化学物質管理とは:専門家が徹底解説

化学物質は私たちの生活や産業を支える不可欠な存在ですが、一歩間違えれば深刻な健康障害を引き起こす「諸刃の剣」です。
日本における労働災害のうち、化学物質によるものが未だに後を絶ちません。
これを受けて、厚生労働省は労働安全衛生法(安衛法)を大幅に改正しました。本記事では、安衛法における化学物質管理の全体像と、SDSやラベルによる情報伝達の概要をまとめています。
Contents
1. 労働安全衛生法における化学物質管理
従来の安衛法は、特定化学物質障害予防規則(特化則)や有機溶剤中毒予防規則(有機則)といった下位規則により、特定の化学物質に対してのみ規制をかけてきました。
しかし、現在日本で使用されている化学物質は数万種類に及びます。
この規制の在り方では、規制対象外の化学物質による重大事故の発生が抑制できず、近年においても、胆管がんなどの深刻な職業性疾病が発生した事例が報告されています。
参考リンク:印刷事業場における胆管がんに係る対応について(厚生労働省)
これらを踏まえ、「国が指定したものだけを守る」という考え方から、「危険なものは事業者が評価を行い、適切な対応を行う」という自律的な管理へと舵が切られました。
2. 労働安全衛生法に基づく化学物質の自律的管理
この改正のポイントは、「通知対象物・表示対象物」の増加と、それに基づく措置の義務化です。
通知対象物・表示対象物とは
通知対象物
SDS(安全データシート)を交付して、相手に情報を伝えなければならない対象の化学物質をいいます。
- 提供者の義務: 化学物質を譲渡・提供する側(メーカーや商社)は、化学物質の提供先に対し、その成分や危険性を記載したSDSを提供することが義務化されています。
- 事業者の義務: 化学物質を従業員に使用させる事業者は、従業員がSDSを確認できるよう整備することが求められています。
表示対象物
表示対象物:化学物質の容器にラベル表示を行い、その危険有害性などを相手に伝えなければならない対象の化学物質。
- 提供者の義務: 危険有害性がある化学物質を提供する場合、その容器に危険有害性や提供者情報の書かれたラベルを貼付しなければなりません。
- 事業者の義務: 現場の作業者が取り扱う化学物質の危険有害性を把握できるよう、容器や作業場に表示を行うことが求められます。
リスクアセスメント
通知対象物・表示対象物に該当する化学物質は、作業者などへのリスクを評価(リスクアセスメント)を行うことも義務付けられています。
ポイント: 「国が指定した特定の物質だけ確認すれば良い」という規制方法から、事業者自らがリスクアセスメントを実施することが求められています。これからは、SDSやラベルなどの情報を基に化学物質の危険有害性を事業者が自らリスクを見積もり、必要な対策を講じる必要があります。
参考リンク:通知・表示対象物質の一覧(厚生労働省)
3. SDS・ラベルによる情報伝達の義務化
SDS(安全データシート)とは?
SDS(Safety Data Sheet)とは、化学物質やそれを含有する製品を譲渡・提供する際に、その危険有害性や取扱い上の注意点を記載した文書のことです。
以前はMSDS(化学物質安全データシート)と呼ばれていましたが、現在は「SDS」に統一されています。いわば、化学物質の「取扱説明書」のような存在です。
くわしくは以下の記事でご紹介しています。

情報伝達の義務
従来は、特定の有害性が高い物質のみ(約700物質)がSDS・ラベルによる情報提供義務の対象でした。しかし、前述の化学物質による重大事故等の発生により、法改正が実施され、この通知段階的に拡大され、最終的には約3,000物質へと激増します。これらの通知・表示対象物を含む化学品を提供する際には、提供先に必要情報が記載されたSDSを提供することが、法的に義務付けられています。
4. 事業者に課せられる「2つの義務」
SDSやラベルに関する義務は、大きく分けて以下が要求されます。
譲渡・提供時の通知義務(提供する場合)
通知・表示対象物を含む化学品製品を他社に販売・譲渡する場合、必ずSDSを交付しなければなりません。
- 通知方法: 文書(紙)のほか、電子メールやWebサイトからのダウンロード、USBメモリ等での提供も認められています。
- タイミング: 最初に譲渡・提供する時、またはSDSの内容に変更があった際に行います。
使用時の従業員への通知義務(使用する場合)
職場で使用する化学物質の危険有害性を評価(リスクアセスメント)し、従業員へ通知することで、化学物質による労働災害防止に努めなければなりません。
5. SDSを作成する必要が生じたら?
これまで説明したように、SDSの作成には専門的な知識と膨大な作業時間が必要です。
ここでは、SDS作成が必要になった際の主な対応方法を3つご紹介します。
自社で作成する
最もコストを抑えられる方法に見えますが、実はハードルが非常に高いのが実情です。
- 最新の法令やJIS規格(JIS Z 7253など)の熟知が必要。
- 成分ごとの有害性情報を公的データベースから収集し、GHS分類を行う専門知識が必要。
- 法改正のたびに内容をアップデートし続ける管理体制が必要。
専用ソフトを導入する
作成頻度が高い企業では、SDS作成支援ソフトを導入するケースもあります。ただしランニングコストが高くなる場合があります。
- 定型的な入力で作成を効率化できる。
- ただし、初期費用や年間保守料が高額になる傾向がある。
- 法規制や規格は年々変化しているため、その都度、ソフトの更新を行う必要がある。
専門家へ作成代行を依頼する
「複雑な法令や規格をチェックして作成する自信がない」「なるべくコストを抑えて法令に準拠したSDSを入手したい」という場合に最も選ばれているのが外部委託(アウトソーシング)です。
SDS作成をプロに任せる3つのメリット
自社で無理をして作成するよりも、専門の代行サービスを活用することで、以下のようなリスク回避と効率化が可能になります。
- 法規制への完全準拠 安衛法、化管法など、複雑に絡み合う日本の法規制を漏れなくカバー。
- 最新情報の反映 JIS規格の改訂や、対象物質の追加など、目まぐるしく変わる最新動向に基づいた正確なSDSを作成します。
- コストと時間の削減 慣れない作業に何十時間も費やす必要はありません。必要なデータを提供いただくだけで、短期間で高品質なSDSが完成します。
SDS作成ならSDS Solutionsへ
1件29,800円~、高品質なSDSを業界最安値水準で提供します。

当社では、化学物質管理の専門家が、貴社に代わって正確かつ迅速にSDSを作成いたします。 「混合物のGHS分類が難しい」「海外から輸入したSDSを日本国内法に適合させたい」といったご相談も承っております。まずはお見積り・ご相談から、お気軽にお問い合わせください。

