GHS分類の方法を解説

GHS分類の方法とは?

GHS分類の専門家が分かりやすく解説


GHS (Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals: 化学品の分類および表示に関する世界調和システム)は、化学物質や混合物の危険有害性を世界共通の基準で分類し、表示・情報伝達するための国際的な枠組みです。2003年に国連で採択され、日本を含む多くの国で法令に取り入れられています。
この記事では、GHSにおける化学品の分類方法について、専門家が詳しく解説します。

1. GHS分類の基本的な考え方

GHSの目的は、

  • 人の健康および環境の保護
  • 化学品の安全な取扱いの促進
  • 国際取引における情報の一貫性確保

にあり、分類結果はSDS(安全データシート)やラベル表示に反映されます。

日本においては、主に労働安全衛生法では、国際的な基準であるGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づいたSDS提供やラベル表示が求められます。GHSについては、以下の記事で詳しく説明しています。

GHS


GHS分類は、「危険有害性(Hazard)」に基づく分類であり、ばく露量や使用条件を考慮したリスク評価ではない点が重要です。
また、GHS分類は大きく以下の3つのカテゴリーに分かれています。
(1) 物理化学的危険性
(2) 健康有害性
(3) 環境有害性
分類作業では、危険有害性情報の調査と評価、混合物全体や構成成分の危険有害性情報に基づき、GHSで定められた判定基準に照らしてカテゴリーの決定を行います。

参考リンク:職場の安全サイト GHSとは(厚生労働省)

2.GHS 分類の進め方(単一物質の場合)

この章では、単一物質のGHS分類方法を解説します。

情報収集

GHS 分類の第一歩は、信頼性のある有害性情報の収集です。主な情報源としては以下のようなものが挙げられます。

  • 公的評価書(ACGIH、IARCなど)
  • 既存のGHS分類結果(NITE 政府分類、EU CLP 分類など)

危険有害性クラスの選定

次に、対象物質がどの危険有害性クラスに該当するかを確認します。
例として健康有害性には、

  • 急性毒性
  • 皮膚腐食性/刺激性
  • 眼に対する重篤な損傷性/刺激性
  • 発がん性
  • 生殖毒性

などが定義されています。収集した情報に基づき、化学物質がこれらの度の分類に該当するか判定します。

区分判定

各危険有害性クラスごとに、GHSでは区分を決定するための具体的な数値基準または定性的基準が定められています。この基準に基づき、化学物質が該当する「区分」を判定します。


例:皮膚腐食性/刺激性

  • 皮膚腐食性 区分1:4時間以内のばく露で,皮膚の組織を破壊、すなわち表皮を通して真皮に達する目に見える壊死が認められる。
  • 皮膚刺激性 区分2:紅斑、痴皮、浮腫の平均スコア値が2.3以上かつ4.0以下である。通常 14日間の観察期間終了時まで炎症が残る。

    収集したデータをこれらの基準に当てはめ、最も適切なカテゴリーを決定します。
    該当しない場合は「区分外」または「分類できない」と判定します。

    3. 混合物のGHS分類方法

    混合物の GHS分類は単物質に比べ、更に複雑になります。GHSにおいては、混合物の危険有害性は、原則、以下の優先順位で判定されます。
    混合物そのものの試験結果
    混合物自体に頼できる試験データがある場合は、それを用いて分類する。
    加算法・濃度基準による方法
    試験データがない場合、多くの健康有害性では加算法や濃度限界を用いる。


    例:混合物の皮膚腐食性/刺激性の分類

    • 皮膚腐食性 区分1に該当する成分の含有濃度が5%以上の場合:混合物も皮膚腐食性 区分1に該当
    • 皮膚腐食性区分1に該当する成分の含有濃度が1%以上、5%未満の場合:混合物は皮膚刺激性 区分2に該当

    4. 日本におけるGHS分類の位置づけ

    日本では、GHSは

    • 化管法
    • 労働安全衛生法
    • 毒物及び劇物取締法

    など複数の法令と関連して運用されています。
    またJIS規格(日本産業規格)として、JIS Z 7252/7253が定められており、これらのJIS規格では、GHSに基づく分類およびSDS/ラベル作成の実務標準として、詳細が規定されています。

    労働安全衛生法における化学物質管理については、以下の記事で詳しく説明しています。

    労働安全衛生法

    5. GHSとSDS

    事業者は、GHS分類を実施した後、分類結果に応じたSDS 作成を行い、供給先へ情報提供を行う必要が生じるケースがあります。特に、GHSで危険有害性に分類される化学品は、SDSなどの文書により、提供先へ危険有害性情報や安全な取扱い、適用法令などを伝達する義務が発生します。
    そのため、SDSには、GHS分類結果とそれに基づく安全取扱い事項、保護具の要否や保管方法などを正確に反映する必要があります。これまで説明してきた通り、正しいGHS分類とSDS作成のためには、非常に高度な化学品とその規制に関する専門知識が要求されます。

    SDSについては、以下の記事で詳しく説明しています。

    SDSの解説

    6. SDSを作成する必要が生じたら?

    これまで説明したように、SDSの作成には専門的な知識と膨大な作業時間が必要です。

    ここでは、SDS作成が必要になった際の主な対応方法を3つご紹介します。

    ① 自社で作成する

    最もコストを抑えられる方法に見えますが、実はハードルが非常に高いのが実情です。

    • 最新の法令やJIS規格(JIS Z 7253など)の熟知が必要。
    • 成分ごとの有害性情報を公的データベースから収集し、GHS分類を行う専門知識が必要。
    • 法改正のたびに内容をアップデートし続ける管理体制が必要。

    ② 専用ソフトを導入する

    作成頻度が高い企業では、SDS作成支援ソフトを導入するケースもあります。ただしランニングコストが高くなる場合があります。

    • 定型的な入力で作成を効率化できる。
    • ただし、初期費用や年間保守料が高額になる傾向がある。
    • 法規制や規格は年々変化しているため、その都度、ソフトの更新を行う必要がある。

    ③ 専門家へ作成代行を依頼する

    「複雑な法令や規格をチェックして作成する自信がない」「なるべくコストを抑えて法令に準拠したSDSを入手したい」という場合に最も選ばれているのが外部委託(アウトソーシング)です。


    SDS作成をプロに任せる3つのメリット

    自社で無理をして作成するよりも、専門の代行サービスを活用することで、以下のようなリスク回避と効率化が可能になります。

    • 法規制への完全準拠 安衛法、化管法など、複雑に絡み合う日本の法規制を漏れなくカバー。
    • 最新情報の反映 JIS規格の改訂や、対象物質の追加など、目まぐるしく変わる最新動向に基づいた正確なSDSを作成します。
    • コストと時間の削減 慣れない作業に何十時間も費やす必要はありません。必要なデータを提供いただくだけで、短期間で高品質なSDSが完成します。

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